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【ワークフロー】

 拙著「Excel(VBA)による中小企業のためのデータベースの構築と簡易ワークフロー」により作成した。

6.1 ワークフローとは

ワークフローとは、文書の権限と責任の所在を明確にし,仕事をスムーズに行うために、文書(記録)が作成され審査、承認・決定、回覧(受理)されるまでの一連の流れをいいます。一般的なワークフローを図にて示せば図6-1 ワークフローのようになります。

  データの種類によっては省略できるフローもあります。たとえば、審査を省略し、審査と承認(決定)を同一人が行う場合もあるし、作成から審査・承認(決定)までが同一人(社長が起案者の場合が該当する)になる場合もあります。むしろこのような場合は例外というよりも日常的に行われていると思われます。このように、データの種類によってワークフローも変化するのが一般的と思われます。基本的なフローについては図6-1に示したとおりになります。このフローを紙ベースで行う場合には極めて単純ですが、コンピュータ利用のワークフローを構築しようとする場合には、複雑になるだけでなく、いくつかの障害を克服しなければなりません。以下に、これについて記述します。

6.2 コンピュータ利用のワークフロー

  6.2.1 条件

コンピュータ利用のワークフローのシステムを構築する場合は、図6-2 コンピュータネットワークに示すようなコンピュータネットワーク(イントラネットを含む)が構築されていることを前提とします。この条件が満たされていない場合にはメールの送受信ができません。つまり、電子データの送受信ができないので紙ベースのワークフローと同じになります。

6-2 コンピュータネットワーク

  このようなコンピュータネットワークが構築されている条件のもとでのワークフローの問題は次の2点が考えられます。

    @認証をどのようにするか

    A文書の提供(提出)はどのようにするか

6.2.2 ワークフローの考え方

 前記二つの問題をクリアするための考え方、および前記のワークフロー図をコンピュータにより行う場合の考えを示せば、以下のようになります。 

ワークフローの考え方は下記のとおりとします。

1) 文書(記録)はサーバーの所定の場所に自動的に記録を保存する。

2) 審査後に上位者に廻す、修正なしに上位者に廻す、下位者に差し戻す。

   3) 承認後に関係者に回覧する、修正なしに関係者に回覧する、下位者に差し戻す。

4) 文書作成者(承認・審査を含む)は、上位の者に電子メールで知らせる。このメールには文書を添付しない。たとえば「○○文書を作成しました。審査(承認)をお願いします」というような簡単なメッセージのみとする。

5)    承認者はサーバーの所定の場所に保存する。承認者は関係者にメールで知らせる。メールによる周知はファイルの保存時に自動的に送信できるようにする。承認済みの文書(記録)は文書毎の文書管理責任者のみが廃棄できるようにする。

6) 様式によってフローが異なるので、様式を選択したときに自動的にフローのデータを読み込み、設定を行なうようにする。

各文書の権限は下記のとおりとします。

@作成、A審査、B承認、C作成・承認、D審査・承認、E回覧、F受理、G削除(廃棄)

6.3保存の方法

  記録文書(様式が決められているもの)の保存は“保存”のボタンをクリックすれば、ファイル名、保存先の入力がなくても特定の場所に保存されるようにします。ただし、初期設定は別途おこなう。初期設定の仕様は下記のとおりとします。

@ディレクトリの構造を設定する。ただし、ディレクトリは適宜追加可能とする。この設定はデータベース管理者がおこなう。データベース管理者以外はフォルダ名の変更、削除、追加ができないようにする。

              Aファイル名、保存先ディレクトリ、様式名称を設定する。

              Bファイル形式はテキストとする。

  6.4 関連ファイルへのデータ引継ぎ

メインのファイルから関連ファイルへのデータ引継ぎは簡単にします。例えば、関連ファイルの初期設定を行なえば、その後はボタンをクリックするだけで必要なデータを関連ファイルから引き継げるようにします。

ファイル名の名付けは下記のように16桁の英数字(半角)で行ない、関連づけ及び検索の容易性と確実性を図ります。

              R005003Y030201V00

              R:部署識別記号、005:(0052005年度の番号)、(003:プロジェクト番号)、

Y:様式記号、030201:様式番号、V:ファイルの版記号、00:版番号

 

6.5検 索

  検索の仕様は下記のとおりとします。

@    カテゴリーの登録削除が可能であること。カテゴリーの登録は誰でもできること、管理者以外は削除できないこと。

A    検索結果に該当する様式(ファイル)を表示できること。

B    期間を指定した検索ができること

C    検索は全文検索とする。

D    データ登録件数が多くなっても検索時間があまり遅くならないこと。

6.6 ワークフローのシステム構築

システムの構築はExcel VBAを使い行います。各ファイル(様式  Wordで作成されたもの)を全てExcelに変換し、VBAで前記の内容を満足させるようにプログラミングします。これは、Excelでのプログラミングが簡単になるためです。Wordを用いたVBAでもプログラミングは可能ですが、ExcelWord2つのアプリケーションを利用することになるためプログラミングが複雑になるだけでなく処理スピードが遅くなります。

     6.6.1 プログラムのモジュール構成

       1)様式毎の基本データ作成

         ここでは、様式毎に使用する人の責任と権限を定めたデータを作成し、保存する。データを作成した場合の事例として表6-1に示す。保存されたデータの読み込みを行う。

       2)個人の基本データ作成

         ここでは、使用する人の氏名、社員ID暗証番号パスワード)など、認証に必要なデータを作成し保存する(図6-3参照)。データを作成した場合の事例として表6-2に示す。保存されたデータの読み込みを行う。

       3)様式毎のセキュリティレベルの設定

         各様式のセキュリティレベルの設定例として表6-1に示す。


6-1 様式毎の責任・権限一覧表

氏名

Y1

Y2

Y3

Y4

Y5

Y6

Y7

Y8

SecL

U

U

U

U

U

U

U

U

益永

3

3

4

5

5

4

3

3

田中

2

2

6

1

1

6

2

2

佐藤

1

1

6

6

6

6

1

1

坂本

1

1

6

6

6

6

1

1

渡辺

7

7

7

7

7

7

7

7

石田

8

8

8

8

8

8

8

8

               11作成、2審査、3承認、4作成・承認、5審査・承認、6回覧、7受理、8削除
                       注2Y1Y8は様式名を示す。

                  32行目のセキュリティレベルは、部門内の情報伝達と情報の共有化の様式であるため全てレベルUに設定しています

4)パスワードの設定・登録

  パスワードの設定・登録はユーザーが各自に行えるようにします。パスワードの設定・登録の入力画面を図6-3に示します。ただし、図6-3は、VBAではドライブリストボックス、ファイルリストボックスのコントロールがないためにVBVisual Basic)を用いて作成してあります。

6-2 ID番号・パスワード一覧表

氏名

ID番号

パスワード

益永

T001

A123

田中

T002

1002

佐藤

T003

X201

坂本

T004

326Z

渡辺

T005

5167

石田

T006

4379

6-3 個人データの入力画面(参考)

     6.6.2 様式ファイルのモジュール構成

      プログラムの構成内容は下記のとおりです。

              @    データ作成

      パスワードを入力しなければ、権限外のものがデータベースを作成できないようにしてある。ただし、エクセルファイルは作成できる。

      データ作成は新規作成と変更作成、承認、審査があるのでこれに対応したプログラムにしてある。

      作成、審査、承認、回覧、受理等の権限が行使された場合には、「****」がそれぞれの欄に出力される(表6-3参照)。

      最新版の記録は自動的に検索し読み込むようにプログラミングしている。また、旧版のファイルも保存される。

A    データの保存

      パスワードの入力により、権限外のものがファイルの保存をできないようにしてある。ただし、エクセルファイルとしてのデータ保存は可能です。

      作成したファイルは最新版として保存される。ファイルの保存はExcelが持っているファイル保存の機能を使用しないこと。Excelファイルは権限が行使されたファイルとはならない。

B    データの削除

パスワードの入力により、特定された者のみが削除できるようにする。

C    データの読み込み

パスワードの入力により、特定された者のみが読み込みできるようにする。

D    データの検索

パスワードの入力により、特定された者のみが検索できるようにする。

E    メール送信

パスワードの入力により、特定された者のみがこの機能を使って送信できるようにする。

                      6-3 権限および権限行使状況

権  限

承 認

審 査

回     覧

作成者

受 理

役  職

社 長

部 長

技術部員

技術部員

営業

総務

氏  名

益永

田中

佐藤

坂本

渡辺

石田

権限行使状況

****

****

****

****

****

****

日  付

10/5

10/4

10/6

10/6

10/3

10/7

       注)この表の権限と表6-1の権限とは一致させていません

6-4 メニュー画面(実行画面)

6.6.3 まとめ

  本システムの利用勝手は、利用者の判断にもよるでしょうが、比較的利用しやすいものと判断しています。欠点としては、各様式(Excel)にVBAを記述するシステムであるために様式の変更等があった場合には、データ保存位置が変化する場合がある。データ保存位置が変化する場合にはそれに応じたプログラムの変更が必要なことがあげられます。また、ワークフローはメールの送受信(ファイルの添付は不要としている)でおこなうため、利用者には多少の不便さを感じるものと思われます。以上述べたような欠点がありますが、実用上は十分な機能を有しているシステムと考えているので利用を期待しています。